気仙沼をはじめとする被災現場からお預かりした写真を6月25日より7月27日まで、富士フイルムの神奈川工場足柄サイトの体育館で毎日洗浄しました。この神奈川工場足柄サイトは、印画紙や写真フィルムを作っている工場です。ボランティア当日、足柄には現役社員や家族に加えて多くのOBも集まってくれました。傷ついた写真たちが生まれ故郷に戻ってきたのです。多くの参加者はそれらを生み出した自分たちが、再生しなければならないという使命感を持ち取り組みました。
このような大規模な洗浄を行うにあたっては、当初、混乱もありましたが、毎日改善を積み重ね、写真洗浄工場とでも呼べるような完成度の高い仕組みを作ることができました。現在の富士フイルムグループは、写真以外にも化粧品や複写機など多様な事業を展開しています。それらさまざまな事業部やグループ企業のメンバーが、同じ場所で立場を超えてボランティア活動に取り組んだ経験によって、社員同士の絆を深める効果も生まれました。連日60人以上の社員とその家族、OBが参加。のべ約1,500人が洗浄作業を行い、気仙沼を中心に、女川、釜石、陸前高田、名取の写真を約17万枚も洗浄することが出来ました。
ここに至るまでには、バクテリアやカビによる劣化を防ぐためとはいえアルバムを解体してよいか?という問題がありました。しかし気仙沼の高井さんは
という考えをもって、すでに多くの現場であきらめられていたアルバムの写真洗浄を始めていました。大量のバラ写真だけでなく、アルバムにおさめられた写真を一枚一枚剥がしてその写真を救い出すという作業はとても大変な作業であるとともに、せっかくのこったアルバムを分解してしまっても良いのだろうか? という思いもありましたが
と考えました。神奈川工場足柄サイトの洗浄の現場では
といった、アルバム解体の手法が次々と生まれ、まさにそのノウハウが、被災地の現場においても広まり、写真救済方法のスタンダードになっていきました。